謎解きクロスは、理由を求めるゲームです。
なぜ、7文字がゴシックなのか。なぜ、その言葉が真犯人(といってもステキな人なのですが)になるのか。すべて理由を探して、進んでいきます。そのため、ときには「まわり道」をすることもあります。
思えば私は、大学を卒業して社会人としてマーケティングの道に入ったとき、研修で「まわり道をしなさい」と、部長から教わりました。通勤時間は、人生のなかでも膨大な時間。
仮に片道1時間として往復2時間。その繰り返しを20年も続けた人と、通勤時間のうちの帰りの1時間、毎日、行きとは別の道で「まわり道」をして帰った人と、どれだけ実力の差がでるか。
街で起きていることは、現場に行かなければわかりません。現場の空気を、一日1時間、いろいろ嗅ぎまわって帰ることが、マーケティングを仕事にする者の使命なのだと、教わったのです。
新しい店ができたら、入ってみる。入ってみるだけではなく、体験してみる。そのために、給料が稼げる人になろう!
私は、週末に副業をする代わりに、週末に作家として文章を書く人生を選びました。その集大成が、50才のときに書かせていただいた「週末作家入門」でした。それから12年。
ようやく、廣川州伸が生み出した仕掛け、新しいペンシルパズルと、誰もみたことがなかった作風、スタイルをもつパズルミステリーの世界を創造することができたのです。
思えばその間、ずっと、ずっと、まわり道しかしてこなかった気がします。行きと帰りで、違う道を歩くと、行きの2倍の時間がかかります。すべてがまわり道になります。
その考えは、でも、ストレートに「最短距離」で駆け抜ける人々には、無駄な人生に思えたことでしょう。
でも、まわり道が無駄でないことは、いろいろな作家が、プロが、照明しています。とくに歩くことの効用は、はかりしれません。それは歩きながら「なぜ」の答えが、ヒントが、みつかることがあるからです。そんなことを考えながら、今日もまわり道をしました。