もう止められない、謎解きクロス

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クリエイターにとって「あれは、私が開発しました」といえる作品を生み出すことが、人生の目標であり、かつ、プロセスのすべてなのです。

しかし、何かをゼロから生み出すのは大変です。そこで、既存の技術なり、作品なりをベースとしながら、誰も気が付かなかった世界を作り上げることを目指します。

謎解きクロスの場合、クロスワードパズルというスタンダードがあり、そのプラットフォームに、コバンザメのようにくっついて、成長してきました。そして、ある意味で、サメを超えて、新たな境地を切り開いたのです。

その副産物として、ミステリーウォークがあります。

地域を元気にしたい。しかし、それは並大抵のことではありません。そこで、ミステリーウォークが登場したわけですが、「誰も死なない、エログロ禁止のミステリー」という新ジャンルの登場が待たれていました。だって、商店街を活性化するのに、やり誰が死んだの、嫉妬して罪をおかしたなど、やっぱりそぐいません。

どうしても、暗号を解くような構造が必要だった。

そうして生まれたのが、謎解きクロスなのです。ですから、殺人事件はなく、人を活かす活人事件になりますし、パズルを解くこと、暗号を解くことが、真犯人につながるのです。

容疑者も真犯人も、みんないい人。街は、いい人で成り立っています。いい人たちが、いい人として出会う。それが、ミステリーウォークの街となります。

この新しい潮流は、すぐに、みなさんに受け入れられるコンセプトではありませんでした。100件プレゼンして、採用していただいたのは15エリアほどでしょうか。でも、問題は数ではなく、採用してミステリーウォークをしてくれたエリアがあったという事実。それが私を支えてくれました。

そして、遊んでくれたみなさんの、はじけるような笑顔。

「あ、作家の方ですか?」

「そうです。廣川です」

「サインください」

私の書いたミステリー小冊子を、そっと差し出すファン。そんなステキな体験をくれた謎解きクロスとミステリーウォーク。普及の入り口に立つまで、10年かかりましたが、もう、このブレイクは止められません。

みなさん、ぜひ、作者と一緒に、謎解きクロスが、どのようなプロセスでブレイクしていくのか、楽しんでください。

写真は、観光庁の「タビカレ」で日本一をいただいた「喜多方古代文字ミステリーウォーク」のヒト場面。廣川の隣にいる高橋さんは、「謎解きクロスは、きっとブレイクする」「郡山で、岡さんと廣川さんと三人で飲んだときが、私の人生で、もっともわくわくして、楽しい時間でした」と語ってくれました。残念ながら、すでに鬼籍に入られていますが、きっと喜多方の空から、東京を眺めてニコニコしていることでしょう。

「ほら、言った通りでしょう」

さて、明日から、ヒアリングに入ります。街の魅力を、どこまで謎解きクロスに反映できるか。戦いの日々は続きます。