■第5章・扉(表)
■コラム(謎解きクロス)③
■晴耕雨読
晴れた日は、本を読みたい。たとえば掘辰雄の風立ちぬは夢の世界に誘ってくれる。
その夏……私は、友人に借りた別荘の庭にコンロを出し、干した草で魚を焼いた。小麦の粉でタコ焼きを作っていると、声をかけられた。その人の素行は怪しかったが、食事をして合点がいく。彼女は測量技師をしつつ全国を歩き、原石を集めていた。
「森のクヌギからドングリがこぼれるように、宝石は転がっている」
彼女は子どものころ、珍しい石を拾った。多くは藻屑だが琥珀がとれたこともある。
「至宝は深い層に隠れている。それが地殻変動で露出し、洗われて小さな石になるのよ。それを陸に上げて磨くとキラキラ輝く。まるで恋のように」
汗をぬぐう彼女のうなじが妙に青く、なまめかしかった。
「発掘は籤を引き当てるようなもの。その手法にシバリはないわ」
彼女はコレクションをみせてくれた。数は少なかったが銀の鎖につながれた石はそれぞれの個体ごとに魅力があり、古代時間の香りがした。
※問題編を読み、キーワード(書体がゴシック)となる言葉を平仮名にして、次ページにある記入欄のマス目を埋めてください。そのピースは、名詞とは限りません。