謎解きクロス・プロローグの謎

実は、謎解き黒いによるミステリーウォークで、小冊子の冒頭は、いつもきまっています。

「大変だ!」で始まることになっています。これは、名探偵ホームズのドラマシリーズが、いつも、ホームズ事務所から、ロンドンの街を見下ろして、やってくるお客様が誰で、どんな悩みを抱えているかを推理するシーンで始まることの、パロディなのです。

「いつも同じでは、つまらない」

し、某大地出版社の名編集長。しかし、私は、この出だしを変える気はありません。だって、もう決めてしまったことなのですから。

なぜ?

そもそもなぜ「探偵@ホームズ事務所」で、「池野所長」なの?

解答@ルパンって誰? そういうことは、物語が5年、10年続くなかで、少しずつ、解き明かされていくものです。

というわけで、今回は、本日、2015年10月25日にスタートした「のんびりイベント散歩」で、ミステリーウォークを終えたみなさんの希望者に配布されたミステリー小冊子の、さわりをご紹介しましょう。

※のんびりイベント散歩2015※

目黒に風が吹いた

――目黒七福人とニャンドロイドの物語
作・廣川州伸
                     

 プロローグ

 ある晴れた日の昼下がり。
「大変だ! 池野所長、起きてください!」
 という叫び声が上がった。
 そこは東京の日本橋にある雑居ビルの一室。玄関には『探偵@ホームズ』という看板がかかっている、小さな事務所である。
 もっとも探偵といっても、その事務所では、殺人などの凶悪事件や、夫婦ゲンカなどのややこしい出来事を調べることはしない。彼らの専門は文化や歴史、自然、人間の魅力が失われたという難事件を解決することだ。
「池野所長、起きてください!」
 アルバイト探偵の伊藤典雄君は、池野所長の身体をゆすり始めた。
「むにゅ、むにゅ。ああ、よく寝た」
 所長が目覚めると、伊藤君はすかさずたたみかけた。うっかりしていると、また寝てしまいそうだ。
「早く起きてください。いま、電話がありました」
「電話? だれから」
「目黒支店の岡田一弥支店長。目黒七福人の件です」
 目黒七福人というのは、目黒区の商店街で行われるイベントを活気づけるためにつくられた「のんびりイベント散歩」を企画した張本人たち。
 メンバーは先崎弘健さん、鏑木康之さん、坂本義明さん、若井大造さん、深谷俊二さん、本橋健明さん、そして平田オリザさんである。
 もちろん張本人といっても、悪い人たちではない。むしろイベントを通して街を元気にしようという志に燃えている、いい人たちだ。
「なるほど。岡田支店長から、目黒七福人の件で電話があったんだね。よし、推理してみよう……さては、また解答@ルパンが現われた?」
「ちょっと古いけど、じぇじぇ! どうしてわかったのですか?」
「それは伊藤君、私が名探偵だからさ」
 もちろん、それもある。ただ、伊藤君の手には、よくみると紙が握られていた。それは、解答@ルパンのメールを印刷したものに違いない。池野所長は、目がとってもよかったのである。
 伊藤君が差し出した解答@ルパンの挑戦状には、こんな文章が書かれていた。

  目黒七福人に挑戦する!

 この秋、目黒区では地域を元気にする楽しいイベントが目白押し。なかでも東急沿線の西小山駅・学芸大学駅・都立大学駅・大岡山駅・祐天寺駅・中目黒駅、そして京王線の駒場東大前駅にある商店街のイベントには注目している。なぜなら、目黒区のマスコット・スマにゃんが登場するからだ。
 実は、七つの地域で開かれるイベントの一つに、スマにゃんが「ニャンドロイド」と入れ替わっている。
 アンドロイドは人間そっくりに造られたロボットのことだが、ニャンドロイドは、猫そっくりに造られたロボットだ。見た目は、スマにゃんと区別がつかない。
 そこで名探偵諸君。これら七つのイベントに参加してニセモノを見破り、未来からニャンドロイドを呼び寄せた「真犯人」を見つけてほしい。
 ちなみに七つの地域をのんびり歩く時間がない人は、このミステリーブックをよく読むと答がわかる。ただ、とっても難しい。一つでも多くヒントを得るため、各地のイベントに参加しよう。
 名探偵諸君の、健闘を祈る! (解答@ルパン)
「これは、面白い。また、誰かが解答@ルパンを名乗って、私に挑戦してきたぞ」
 実は、探偵@ホームズの池野所長は、探偵@ホームズと解答@ルパンの一人二役を演じている。もちろんそれは秘密のこと。それを知らない「七人の容疑者の誰か」が解答@ルパンを名乗って、探偵@ホームズ目黒支店に挑戦状を送ってきたのだろう。
 目黒で起きた事件は、地元目黒で生活する支店長に任せたほうがいいだろう……池野所長は、探偵@ホームズ目黒支店の岡田支店長に電話を入れた。
  その間、伊藤君は、東急沿線の情報サイト「とくらく」をチェックし、七つのエリアを探しだした。

※イベント開催日と容疑者
○10月25日(日)西小山駅/先崎弘健さん
○10月25日(日)学芸大学駅/鏑木康之さん
○10月31日(土)都立大学駅/坂本義明さん
○11月1(日)大岡山駅/若井大造さん
○11月14日(土)祐天寺駅/深谷俊二さん
○11月28日(土)中目黒駅/本橋健明さん
○12月5日(土)駒場東大前駅/平田オリザさん

人生はゲームなのか?

こんにちは。
謎解きクロスの原作者で、「なぜ、ヒツジは空を翔べたのか?」を書いた廣川州伸です。

ふと、思いました。確かに恋愛はゲームかもしれないが、人生はゲームではない。同棲はゲームかもしれないが、結婚はゲームではない。
決して。

そこまでは、半分くらいのみなさんが、納得してくださるかもしれません。問題は、その先。街歩きはゲームなのか? 歴史探索はゲームなのか? ミステリー小説を読むのはゲームなのか? 鉄道の旅は? 海外旅行は?

確かに、仕事でなければ、ゲーム?

ここで、昔の知恵者なら、こういったかもしれません。
ゲームというのは、複数の人と、何かを競うこと。ミステリー小説を読むときに、誰かと何かを競うことはありません。え? 作者と競うこともある? では、こういい換えましょう。生身の人と、競うのがゲームだと。

でも、最近の知恵者は言います。たいていのゲームは、一人でするもんでしょう。複数でするゲームのほうが珍しい! なるほど。スマホのゲームは、たいてい、一人で阿曽あ゛ようにできています。

さて、この話はこのあたりで。人生がゲームではないのですから、私は、これから真剣に、自分の人生を、自分の足で、進めていくことにしましょう。

その延長線上に、謎解きクロス&ミステリーウォークがあります。本日は、伊豆下田で11月8日にあるミステリーウォークの打ち合わせ。その一つひとつに、真剣に向き合い、「手を抜かない」ことが、私の人生を決めていきます。手を抜かないから、一つひとつ、相応の時間がかかる。時間がかかるので、人生の時間が、志半ばなのに、60歳まで、きてしまいました。

でも、その時々に、手を抜かないで生きてきたから、これからの10年を、作家として生きていける気がしています。

私は、50歳のときに「遅れてきた作家」として、講談社現代新書「週末作家入門」で作家デビュー。以来、10年間、物書きの道をも模索してきました。

その、一つの答えが「なぜ、ヒツジは空を翔べたのか?」です。これは、ゲームではないので、有料(864円)で有益です。きっと、あなたにも。

パズラー7000人大募集!

10月25日、東京の西小山と学芸大学で、同時にスタートを切る「のんびりイベント散歩」では、17ヶ所のヒントポイントをめぐるミステリーウォークが行われます。
その後、12月5日の駒場東大前に至るまで、東急で6地域、京王で1地域、計7地域で、ミステリーウォークが行われます。
もちろん、これだけの規模でミステリーウォークが行われるのは、ちょっと類をみません。ひょっとしたら、35年前の、あの大事件にまで、さかのぼるのかもしれないほど、とっても凄いことが起きています。
世の中に、クロスワードパズルなどが大好きな「パズラー」と呼ばれる人が、どれくらいいるのでしょう。新聞の休日ラン、雑誌の娯楽ランに、よくでているクロスワードパズルですから、たぶん、世の中の2割くらいの人が、遊んだことがある。そして「はまっている人」も、その中の2割。
すると、4%ほど。年少者は外して、1億人のうち4%というと、400万人くらいが、クロスワードパズルが「めしより好き」というみなさん。

もし、そのクロスファンのパズラーの、2割が本を買ってくれたら、80万人となります。ここで、わざと100万人にしないところが、控えめでいいでしょう?
このサイトも、その80万人に向けて、つくっています。

ところで、今回の「のんびりイベント散歩」の募集定員は7000人ですが、念のため、少し多くの参加賞やおもてなしを考えています。その数が8000人。
ここでようやく、つながりました。80万人の「パズル本を買ってくれるパズラー」の、1%が、今回、「のんびりイベント散歩」で、実際の街を歩いて、謎を解いていく李フル。ミステリーゲームに参加してくれるのです。

パズルは、机の上で解くものですが、ミステリーの大原則は「事件は現場で起きている」ってこと。
そう考えると、この「のんびりイベント散歩」の意義が伝わるのではないでしょうか。

みなさん、ぜひ「のんびりイベント散歩」に参加し、歩いて謎を解き、ミステリー小冊子をゲットして、先進的パズラーとなって、ミステリーを解いてみてください。

心から、お待ちしています!

カメラマンの謎

本サイトには、ミステリーウォークで探偵@ホームズを演じている私の画像が、トップにきています。これは、2008年秋に、全国に先駆けて、伊豆下田でミステリーツアーを行ったときに、伊豆急行の社員で、地域プロデューサーとして第1回ミステリーツアーの企画をゼロから手伝ってくれた鈴木正人さんの手による写真なんです。
いろいろ、撮っていただき、「どうも、うまいなぁ」と思っていたら、鈴木正人さんは、何度も何度も、アマチュアの写真コンテストで入賞されている凄腕の方でした。
この写真の背景は、あわや一服堂さん。下田商工会議所の会頭を務められている田中さんが、地域のために保存されていたステキな建物でしたが、老朽化には勝てず、今では取り壊されています。もう、ないのですね。
ということで、とっても貴重な背景の写真。
ここで、廣川のする、探偵@ホームズの活躍するミステリーウォーク・シリーズが始まりました。謎解きクロスは、この地域を活性化するミステリーウォークのために、編み出されたツールです。

本サイトが、写真を自在に掲載できるようになりましたら、他にも懐かしい写真がありますので、シェアさせていただきます。

この秋、謎解きクロスがブレイクします!

・11年前、ミステリー作家の伊井圭さんと約束しました。
・深谷宿ミステリーツアーのコンセプトを、全国に広げると。
・8年前。移住交流推進機構の補助事業として、静岡県でミステリーツアーを展開。大井川鉄道や寸又峡温泉のパイロットスタディにより、全国展開への道を開きました。
・7年前、伊豆下田で、第一回伊豆下田ミステリーツアーが開催されました。
・6年前、東京西小山で、第1回に西小山ミステリーツアーが開催されました。のちに東京都商店街グランプリ優秀賞に輝く企画です。
・その後、伊豆下田、西小山では毎年開催。いすみ鉄道、伊豆急行でも実施。信州では、松本市で浅間温泉、美ヶ原温泉、そして松本市内の縄手通りなどで開催。謎解きクロス&ミステリーウォークの原型がつくられました。
・そして、昨年の10月。伊井圭さんがなくなられ。今年、廣川が遺志を継いで、深谷宿ミステリーツアーを開催。
・夏には、有隣堂ミステリーウォークと、真骨頂も展開されつつ、この秋に、いよいよ、謎解きクロス&ミステリーウォークが本格的なブレイクを迎えました。
・10年前から応援しつづけてくださったみなさん。ありがとうございました。おかげさまで、日本の地域を、根底から変えていく仕掛けとしてつくられたミステリーウォークが、太陽の光をあびて輝きます。

ありがとうございました。心より、御礼申し上げるとともに、地域を元気にする謎解きクロス&ミステリーウォークのさらなる発展をお約束いたします。