2018年「謎解きクロス事始め」の問題を公開します

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謎解きクロスのファンのみなさま、お元気ですか?

今年、これまで謎解きクロスを応援してくださったみなさまに、謎解きクロス元年を迎えられた御礼として「2018年 謎解きクロス事始め」というタイトルで、謎解きクロス9×9の問題を贈呈させていただきました。

※ちなみに、解いて正解にたどりついた方から、こんな感想をいただきました。冒頭に紹介させていただきます。

良く考えたものだと感心しています。言葉のパズルであるとともに算数のパズルのようにも感じました。最初の七文字の縦横を間違えるとドツボに嵌まりますね。」

ドツボにはまったら、本サイトのトップにある「ニュース」に「謹賀新年」として「ヒント」を掲示していますので、それをご参集ください(でも、難しいです)

 

■謎解きクロス事始め■

■2018年の容疑者■

・宮本輝

・夏目漱石

・村上春樹

・谷崎潤一郎

・大沢在昌

 

ガラス窓から、雪化粧をした路地が見えた。コンビニの店員が雪掻きをしている。所長は熱い桜湯を飲み、ほっと息を吐いた。

そこは日本橋にある雑居ビルの一室、ドアにの文字で『探偵@ホームズ』と書かれた表札のある、小さな事務所である。

もっとも探偵といっても根掘り葉掘り男女の過去を調べることはしない。彼らの専門は、地域の文化や魅力が失われる原因を見極め、再生の方法を示唆することだ。

「容疑者は五人。みんな作家の人ですね」

その声は、近ごろめっきり女ぶりをあげてきた助手のふくちゃんである。

彼女は探偵協会から届いた賀詞交歓会のパンフレットを、所長に見せた。そこで行われる講演のレジュメには、二○一八年に運勢が良いという作家の名が記してあった。

「作家といっても画家ではなく小説家ですね。賞品はないけど、ドキドキします」

彼女はカフェオレを飲み、手作りのサブレを口にした。ちょっぴり刺戟的な香味のあと、深い旨みが感じられた。

「美味しい…五人の容疑者から真犯人を見つけられれば幸先の良いスタートが切れ最高の年になるそうですよ」

「五人か……誤認逮捕にならないよう慎重に考えよう。謎が解けたら家族を集め、真犯人を披露しよう」

どうやらふくちゃんは、今年も所長のダジャレによる疲労と戦うことになりそうだ。

ここで、少し解説をしておこう。

謎解きクロスは、廣川州伸が開発した新しいパズルのこと。謎を解くヒントが、文章の中に言葉の欠片として散らばっている。それを集め、ジグゾーパズルのように適所に埋め込んでいくと『キーワード』が浮き彫りになる。

それを使ったミステリー小説はキーワードから真犯人を見つけるゲームとなり、喫茶店で使えば謎解きカフェとしてマスターとお客とのコミュニケーションが進むことだろう。

今回の容疑者は宮本輝・夏目漱石・村上春樹・谷崎潤一郎・大沢在昌の五人となる。

永井荷風は入っていないしクオレを書いたイタリア王国のエドモンド・デ・アミーチスなどの外国人もいない。

話は変わるが、去年、所長は釣りをしたいと竿を買って伊東までクルマを飛ばした。残念ながら成果はなかったが、駅前の土産屋でアジや金目の干物を買って帰った。

それがきっかけで、所長は干物の魅力に目覚めた。ランチでは、定食屋でアジの開きを食べることが多くなった。

今年も定食屋で彼はアジを選び、レジで年賀としてレプリカの金貨と折紙で作ったを結んだストラップをもらった。

夕方、降り続いた雪は霙(みぞれ)に変わった。所長は雨傘をさして銭湯に行き、あぶくの出るジェット風呂やサウナ風呂で英気を養う。かすかにさらし粉の臭いがしたが、あまり気にならなかった。

少したるんできた下腹も、新年を迎えた清廉な気持ちとともに、引き締まる気がした。