問題例

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謎解きクロスは、文章の中に<ワード>があり、それを共通フレームに当てはめていくゲームです。

◆問題の事例です

土曜日の昼、いかにも近場を散歩するようなラフな格好で、オレは電車に乗りこんだ。

子どもころ、窓から外が観られる電車が好きで、小銭を握りしめて出かけたものだ。窓から見える【畑】その向こうに連なる山。ときどき、富士山だって観られた。今でいえば「がんばろう東日本!」のような【スローガン】を見つけては大声で読み、乗客の笑いを誘うこともあった。字が読めたのが、うれしかった。電車に乗ったおかげで、【地理】にも詳しくなったかな。

そう、オレはちょっとした鉄道マニアだ。友だち同士で「青春18きっぷ」を買い、行きたい駅の【リスト】を前に、時刻表とニラメッコして一日で回る方法を議論した。

夜行列車に乗り、何やら【得体】のしれない駅に着く。無人駅だが、なかなか出発しないと、ちょっと怖かった。それでも【運】がよければ、列車の窓から思いがけない景色が観られた。たとえば、富士山の頂上から昇る日の出という【稀有】な風景。ときには、ハッとするような美人と乗り合わせもした。高校生にとっては、新鮮な体験だった。

あの頃、流行っていたのは【翼】を下さいというフォークソング。途中下車した駅のホームで、大空に舞う鳥のような【仕草】で走り回った。同級生の【干支】は酉(トリ)がメインだったから、みんな飛びたかったのだろう。

そんな想い出を胸に抱き、電車に乗ったオレが降り立った駅は、目黒線の西小山駅。

実は、失業中なのに昼間から酒を飲んでいると怒られそうでカミさんには内緒にしていたが、西小山商店街の一角、【寿司】屋のハス向かいにある「やきいち」という店で、ちょっとした飲み会が開かれていた。【演歌】が似合いそうな小料理屋だが、流れているのはジャズ。別に高い店ではないが、タダ酒を飲むわけにもいかない。そこで先週、オレはカミさんの【箪笥】預金から五千円札を拝借した。それを握りしめ、やってきたのである。

本日のお勧めは【鯛】のお造り、海鮮の串【カツ】、【コラーゲン】たっぷりのスッポン鍋もできるという。飲み物はビール、日本酒、焼酎に【うこん】のエキスを入れた健康チューハイもある。

せっかくだから【ワイン】にするか……。

え? 今日は困るって。なるほど、よく見たら奥のテーブル席で、博水社の女社長がガラスの【器】を手に笑っている。ワインは止めて、やっぱりいつもの○○○○○でいこう。気取る必要はないのだし、ステキなさ女社長に、もっと笑ってほしいから。

ところで太陽のような三代目にも、苦労はあった。クラッシックバレエを習い、米国への留学を予定していた彼女は、怪我で断念。それで短大を卒業した【二十歳】のとき、決心を固めた。【偉大】な祖父が創業し、吾輩の飲み物という意味から○○○○○という洒落たネーミングをつけた父が社長を務める博水社に就職したのである。

オレの同級生は、ひょんなことから西小山と関わり、そこで三代目女社長との【縁】ができた。そこで失業した私を元気づけるため、プチ同窓会を開いてくれたのだった。もつべきものは、友である。今日も、ちょっとウェットだけど美味しいお酒になりそうだ。

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謎解きクロスのフレームは共通で、本問は「7×7」です。

7×7フレーム

2015年10月2日