本当は、夜更かしをしたくなかったのですがね久しぶりに「朝まで生テレビ」を視聴。この番組、政治のジャンル以外は参考にならない気がしていたのですが「AIは人を幸せにするのか?」というタイトルに惹かれて、最後まで、お付き合い。
残念ながら、AIについて本質を知らない人、知っていてもマスコミ用に言わない人ばかりがゲスト出演していたので、話はあちこちにとび、「人を幸せにする?」という問いかけに応えられたゲストはいなくて、無理やり「労働の問題」にふっていくので、とても残念でした。
ただ、世間一般、マスコミはAIについて、どのような視点でみていて、どう理解したがっているのかは、けっこう鮮明になり、さすが、お年をめしていても、田原聡一郎さんは、今もって「取材」はしているのだなぁと、感心しました。
私も、AIについては一家言あります。それは、スターティアラボ社から電子書籍で出していただく予定の『AIと共にビジネスを進化させる11の提言
~超デジタル社会で、人間はどう生きるべきか~』という本のなかで、思う存分、語らせていただいてます。
で、朝まで生テレビのポイントは「人間と人間をつなぐコミュニケーション部分は、AIが苦手のジャンルで、万能に見えているディープランニングも進まない」というふたりなんですが、たぶん、ふつうの視聴者のみなさんは、議論の文脈から、そのような大切なことに、気づかなかったのではないかと思っています。
結論としては、こんなところ。
「ここ数年で、AIの世界標準のようなものが世界企業によってできてしまい、3周くらい遅れている日本は、出る幕がないので、敗北感はますます募るだろう。その結果、日本も、今日の世界標準である格差社会になり、ほんの数%の大金持ちと、生活できない、ギリギリのボトム層に分かれる。だから、単純な決まりきった労働で成り立つ仕事はAIに任せ、クリエイティブな仕事は、一部の大金持ち、テレビに出ているような選ばれた人々が行い(出演者は、みんな資産がある)最低限の生活を保証する社会システムの構築が急務となる」
まあ、こんな感じ。日本の教育は、平均値を上げる教育なので、いまの時代にはそぐわないというご意見など、ごもっとも。ただし、では、どうしたらいいかというときに、みんな、「今の自分のポジション=専門家」目線が強すぎて、ちょっと、共感ができませんでした。「俺たちは、スターで、特別な能力があるからここにいて議論しているのだけれど、この番組を観ている特別な能力のないみなさんは、スターの中からサポートしたい人を探して、代弁させることで、ちょっと、幸せになってよ」という感じでしょうか。
もともと、テレビ、ていうかマスコミは、上から目線であることは、間違いありません。
あ、シンギュラリティについて、もっとちゃんと議論すべきだったのですが、2045年の話など、視聴者には関係ないだろうという、ディレクターなのか、田原さんなのかのはいのょで、それぞれが「自分のうんちく」を語っただけで終わりました。
驚いたのが、みなさん2020年までに完全なクルマの自動運転ができているという主張をしていて、そこに反論する人が、誰もいなかった点。森永さんが、あの人も、いろいろ取材しているので、「反論」しようとしたら、コマーシャルの間に、話題がうつっていました。
私は、クルマの自動運転の定義によりますが、高速道路で、決まりきったラインをつづらおりのように、走っていくパターン以外は、2030年になっても、東京に自動運転のクルマが走っている社会は、こないと知っています。なぜなら、東京での自動運転の走行は、高速道路のような1次元の、サイバー空間に近いリアル世界で行われるのではなく、4次元の、とても複雑で、量子コンピュータクラスの処理速度のコンピュータがなければ走行できない、複雑極まりない、リアル世界の出来事だからです。
何が起こるか。目に見えています。東京のような場所に、リアル世界のまま、自動運転のクルマが入ってくると、昔の路面電車のように「ここのラインしか走行してはいけない」「首都高速スガイは、自動運転をしてはいけない」などというルールを作らない限り、「安全のため停止する」ので、あちこちで渋滞がおき、リアル世界の流通がストップするからです。
それに対して、鉄道のように「線路」と「駅」と「車両」で成立している交通網は、AIで対応できるので、2025年でも不思議はありません。
こういうことを主張すると、ステラのことを知らない。AIのことを勉強していない。グーグルが年間数兆円の予算で研究しているので、もうできている。知らないだけ、なんてことをいうかたもいますが、そりは真逆。
AI学者ですら、いまもってシンギュラリティらしきものが起きるリアル世界を9割の人が信じているという話を、「教科書が読めないAI」の先生がなげいてましたが(彼女は数学者でもあるので、AIの限界を知っている)朝まで生テレビに出演されたゲストのみなさんも、数学的なアタマの人はだれもいなくて、議論が比較的「9割の研究者」に近い形で進められました。まあ、マスコミなので、仕方ないのですが。
さて、ようやく、謎解きクロスの話です。
AIは、コミュニケーションが苦手です。そもそも、論理を超えるコミュニケーションは、何か計算して答えがでるというようなものではないので、AIに任せるわけにはいかないのです。その基本がわかっていれば、今日、AIについて行われている様々な議論の真偽、どれを信じて、どれを信じなくていいのかが、わかってきます。
2030年、東京では、自動運転の世界は、高速道路などの「特区」に限られます。ですから、一人でクルマに乗って運天する場合、都心の一般道を走っているときには、さまざまなセンサーで「安全・安心」を確保したクルマであることは当然なのにもかかわらず、目的地まで飲酒はできません。タクシーを拾ったら、何と「人間の運転手」が乗っています。無人ではありません。たとえ、あるラインではハンドルから手を離していたとしても、別のラインでは、交通状況によって「手動」に切り替えなければいけないからです。
で、すみません。また、ここで謎解きクロスが登場するのですが、謎解きクロスはコミュニケーションの促進に使われる、有効なツールとして、2030年も社会にいいポジションを占めていることでしょう。
2030年の、謎解きクロスが普及しているリアル世界の人々に、逢いたいなぁ。