謎解きクロス開発物語<9>

謎解きクロスによるミステリーウォークの原点は、1982年秋に行われた「黄金を探せ」という角川春樹氏の企画・運営したビッグイベントにありました。

あの年、何があったのか。

いずれ、小説にするネタなので、肩透かしですみませんが、ここでは書けません。お金になるネタなんです。

私たちは、黄金はゲットできませんでしたが、角川春樹氏から、なかなか入手ができなかった、発酵されたばかりの500円銀貨を10枚、いただきました。口止め料でした。

20年くらい前、九段下のフレンチの店で、角川春樹氏の隣のテーブルで食事をしました。たまたま、なんですが、何番目か忘れましたが、若い奥さんと一緒でした。あれだけ、破天荒な企画を進め、世間を騒がせたのですから、何人もの女性と結婚し、別れ、そしてまた恋をするのも、まあ、いいのでは。薬物中毒も、自己責任ということで、私は、そんなものかなぁと思って、観ていました。

さて、ベルタルべに戻ります。角川氏が「黄金を探せ」を世に出す前年、1981年に、ちょっとした事件がありました。スポーツ新聞に「代々木公園で100万円がみつかる」との記事。暗号を解いたら、100万円が埋めてある場所がわかり、そこに行ったら缶に入った100万円があったというのです。

その翌週、「第二弾」が、同じくスポーツ新聞に出ました。暗号文とイラストと、100万円の争奪戦に参加する方法がでていました。暗号の本を2000円(3000円かも)で購入すれば、発見できる確率が高まるとのこと。

私は、その本を書い、研究しました。そして、東十条の飲み屋に行って、高校時代の友人を呼び出し、チームを組んで宝探しに出たのです。

宝のある場所は、東京とは限りません。関東地方にあるということです。ただ、暗号を解いてみると、「哲学堂に埋まる宝あり」という文章ができました。真夜中に、富士通に勤めている友人を呼び、4人で探索に出ました。30mくらい測れるメジャーと方位磁石、穴を掘るシャベルを持った4人組は、哲学堂のグランド周辺にある照明塔を起点として、掘る位置を決めました。夢中で掘っていると、見回りの警察官が二人、立っていました。

「何をしているんですか?」

「死体を埋めているわけじゃありません。宝物を探しているのです」

「こんなところを、掘ってはダメでしょう」

「確かに。ご説明しましょう」

私は、交番まで同行し、スポーツ新聞や暗号ブックを見せて、

「これは、実際にある街を使ったゲームなんです」

と説明をしました。当時の警察は、けっこう話がわかり、

「それは楽しそうですね。穴を掘ってもいいですが、なるべく元通りに埋め直しておいてください」

朝が来ました。

とうとう、100万円は出てきませんでした。

それから15年後、私は、このゲームの仕掛け人と仕事をすることになります。ビックリしました。

「本を売るためのプロモーションだった」

とのこと。私は、すべてヤラセだと思っていましたが、最初の100万円はヤラセだったけれど、2回目の暗号問題は、

「群馬県の、とある観光地(伊香保)に隠したが、誰も発見できず、回収した」

ということを聞きました。

そんなことがあった後の、「黄金を探せ」だったのです。

謎解きクロス開発物語<8>

謎解きクロスの原点をさかのぼれば、1982年、角川春樹氏が大藪春彦を担ぎ出して謎解きを仕掛けた「黄金を探せ!」にたどり着きます。

たぶん、秋。新500円銀貨が発行されるというタイミングでした。朝日新聞の全面を使って「黄金を探せ!」という告知がなされました。

そこには、暗号が出ています。記憶もうすれているので、ちょっと端折りますが、暗号を解くと「ベルタルべ」となります。このベルタルべは、シンブンシのような「回文」となっていました。

葉書に「ベルタルべ」と書いて角川書店の事務局に送ると、「黄金を探せ」というイベントへの招待状が来ました。ある日曜日、10時に山手線に乗りなさいという指示。

仲間を募って、探索の準備をして乗り込むと、ラジオの周波数が、中刷り広告に記してあります。それに合わせると、ラジオの広告。それをヒントにして、解答を「大井競馬場」と解いた私たち4人は、ちょうど目黒あたりにいたので、品川に出て、京浜東北で大井競馬場駅で降りました。

まだ、50人くらいしか集まっていませんでした。そこで問題を受け取り、都会の街を、地図を読み解き、暗号を読み解いて歩きます。

街歩きをしながら、ヒントポイントにたどり着き、そこでヒントをゲットして、謎解きをして、次に進む。そうです。謎解きクロスによるミステリーウォークと同じ仕掛けを、角川春樹氏のチームが、1982年に、すでに実現していたのです。

まず、大きな暗号文を解き、それから10カ所くらい歩いて、細かい暗号を解きます。すると、新宿にできたばかりのアルタ前に、15時に集まれという解答でした。あとでわかったのですが、大井町競馬場で問題を受け取った人が10万人。そのうち、謎解きをしてアルタ前に集まったのが3万人。もちろん、新宿は東口のみならず、西口も、黄金を求める豆探偵であふれていました。

嫌な予感がしました。たぶん、アルタ前は黒山の人だかり。ヒントは、大きなビジョンから出されるに決まっていますが、それを群衆の中で観ていては、次のリアクションがとれません。きっと。

そこで、ヤマを張りました。理由はわからないけれど、電車に乗ることになるから、なるべく改札口の近くにいたほうが有利です。アルタのビジョンが観られる位置に陣取り、双眼鏡をのぞきながら、15時を待ちました。

と、60秒くらいのCMが流れます。私が目視した内容を、仲間が必死に書き取ります。すぐに謎は解けません。しかし私は「小田急線だ」と気づき、仲間三人に声をかけました。「走るぞ。ついてきて!」

小田急線の急行に飛び乗り、社内で、アルタで提示された暗号を解きました。とある駅で降りると、バスが停まっていました。すでに1台めのバスは、出てしまったとの説明がありました。バスには、ぎゅうぎゅうにつまって、100人くらい乗れるようです。整理券を受け取って、バスに乗りました。たしか、120番くらいだったと思います。

このときも、嫌な予感がしました。私たちは、他の誰よりも早く、小田急線に乗り込んだはずです。しかも、急行でした。私たちよりも早く着く電車はありません。それなのに、すでに100人も、黄金を探せというイベント会場に向かっているというのです。

とっても嫌な予感がしました。

バスが、もう一台、やってきました。ということは、300人で、2000万円の黄金の争奪戦が始まるのです。

イベント会場に行くと、テレビで見知っている、あの角川春樹氏が、待っていました。そこで、報告を受けました。角川氏は、マイクを取って、こんなことを語りました。

「みなさん、おめでとう。今、みなさんがたどり着いた駅には、3万人の参加者が集まって、パニックになっています。彼らには、もう黄金を探す権利がありません。黄金は、100万円を20本用意して、あの竹藪の敷地にかくしてあります。これから、ここに集まってきた300人で、黄金の争奪戦を行ないます。そこで、お願いです。本来、あの竹藪には20本の金の延べ棒が埋まっていましたが、そのうち2本を、今、小田急線の駅に集まってパニックを起こしているみなさんへの、敗者復活戦の賞品として使わせてください。いいですね」

そうしないと、パニックが収まらないのでしょう。私たちは、これから始まる金の延べ棒の争奪戦のことでアタマがいっぱいで、誰も、文句をいうこともなく、次の指示を待ちました。

私の近くにいたグループは、金属探知機を持参していました。金の延べ棒を、その道具で発見しようというのです。角川氏は、こういいました。

「さて、ルールを説明しましょう。竹藪には、整理番号順に、入ってもらいます。すなわち、番号の早いほうが有利です。また、ここには300人が集まっていますが、100人ずつ、制限時間20分で、探してもらいます。それぞれの100人に対して、6本の金の延べ棒が割り振られます。6本、すべて発見されたら、その100人は終了となり、次の100人に、竹藪に入ってもらいます」

やっぱり。金属探知機をもってくるべきだったか、と考えていたときに、角川氏は、こういいました。

「ところで、100万円の金の延べ棒ですが、さすがに、本物を竹藪に隠すわけにはいきません。そこで、同じ大きさ、形の、木でできた棒切れを隠します。それを見つけてください。あとで、金の延べ棒と交換します」

そうです。金属探知機が使えなかったのです。あちこちで、落胆の声。でも、それは、竹藪の中に入っていく、最初の100人の怒号でかきけされました。なぜかしら、黄金を探しに竹藪に入った参加者たちは、「オー!」という叫び声をあげて走りまわっていたのです。

そこで、私が目撃したものは、本当に、驚くべきことでした。

それは、あまりにも凄い出来事だったことが理由かは定かではありませんが、今では、誰も伝承していません。ネットにも、何の痕跡も残っていないのです。

生き証人は、ここにいます。

次回、私が目撃したドラマについて、ご紹介しましょう。

 

 

 

 

ミステリーツアーの広域展開

謎解きクロスによるミステリーウォークは、鉄道を活用して、広域展開が可能です。それは、目黒区で展開してもらった、のんびりイベント散歩で実証しています。

のんびりイベント散歩では、同時期に、6地域でミステリーウォークを実施しました。各地域の商店街では、運営の問題がありますから、週末の1日しかミステリーウォークを実施できません。しかし、企画としては、例えば学芸大学駅を拠点として広域展開をしながら、2カ月間、ミステリーツアーを実施することもできます。

さらに、あちこちから、参加者を募集して、大掛かりなイベントにすることも可能です。たとえば、昔、角川春樹さんが企画したように。

それは、私のミステリーウォークの原点でもあります。

英語バージョンの開発

謎解きクロスの説明をして、一通り理解してもらうと、企画力のある方は、みなさん、英語バージョンは作れませんか?と、質問されます。

元々、クロスワードパズルは英語から始まったものですから、理論的には、英語バージョンは可能です。はい。

でも、英語が苦手な私にとって、まずは日本語。日本で100万人のファンができたら、英語バージョンを作ってみようという感覚でいました。

ところが、時代は急速に変化しています。日本においても、4000万人のインバウンド対応を模索するなかで、地域の街をあげて、おもてなしをする時代に、外国人が日本の商店街で、楽しく歩ける謎解きクロス、ミステリーウォークは、あったらいいな、という時代に近づいていました。

歴史が動きます

謎解きクロスは、本日から、新しいフェーズに入りました。

ひな祭りの日は、謎解きクロスの記念日です。

詳しくは、明日、またアップします。

具体的に、一つ。謎解きクロスは、いよいよ、英語バージョンの開発に入ったのです。

お楽しみに!

謎解きクロス開発物語<7>

謎解きクロスは、ミステリーウォークの問題を作成するときに、「誰も死なない」ことによる興味関心の欠如を補い、本格推理小説のように「謎解きの楽しさ」を際立たせることを目的として、生まれました。

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2008年の秋に、赤坂サカスで行われたミステリーウォークの実証実験では、赤坂という文字をローマ字にしたときにAKASAKAと、たまたまローマ字の回文となっていたことから、謎解きのベースを作りました。

これは、これなりに評価は高く、ローマ字の回文だったとわかったときには「凄い!」という絶賛の声も多々、いただきました。それで、ローマ字の回文になる言葉の「辞書」をつくり、これでミステリーウォークの小冊子をシリーズ化できると、大いに期待したのです。

シリーズ化に際しては、一つ、工夫をしました。

実は、ミステリーの小冊子の原稿は、最初は放送作家の源高志さんに書いてもらっていました。伊豆下田では、小冊子までいかなかったので、私が書いたのですが、翌年に実施した西小山ミステリーツアー(当初はツアーと呼んでいました)では、源さんと二人で西小山を取材し(すなわち昼間から飲み歩き)原稿を委託していたのです。

しかし、よくよく考えると、AKASAKAなどのローマ字回文を使った謎解きと、ミステリー小冊子がリンクしていません。ミステリーも、ローマ字回文で進められたほうが、楽しいはず。

そう考えて、2010年からは、ローマ字回文を使った謎解きのミステリーウォークがスタートしたのです。それが、前にふれましたが、かつうらビッグひな祭りでの「クロスワードパズルを使った謎解き」につながるのです。

そして、私がミステリーの原稿を書くときに、いくつか、決めたことがあります。私は、ビジネス書は30冊ほど書かせていただきましたが、小説では「いつも予選落ち」という、さみしい人生をへてきた人間。たぶん20回くらい応募して、一次予選通過が数回あるくらいで、結果がついてこなかった。ジャンルは純文学からエンターテインメントまで。

もっとも、たとえばキャッチコピーとか、兵庫とか、アイデアとか、ショートショートのようなものは、逆に常連といえるくらい、絶賛されていたりもしました。ただ、小説の壁が高く、厚く、いつも門前払い。

でも、ミステリーについては、何となく「書ける」という自信がありました。というのもトリックや謎解きについては、アイデアが無尽蔵にわいてくるからです。ほとんどが、すでに世に出ているものを、自分の脳だけで作り出したケースなんですが、1000に3つくらい、オリジナルのアイデアもありました。実用新案登録をしたことも、二十歳のころですが、ありました。若気の至りでもあったのですが。

ちょっと脱線しました。

私が「誰も死なないミステリー」を書くとしたら、こうしようという決め事がありました。

①舞台は、日本橋の雑居ビルにある「探偵@ホームズ事務所」です。

②いつも、スタートは「大変だ~」から始まり、仮眠をとっていた池野所長を、助手が揺り起こすところから始まります。

③謎解きのパターンは、いつも一緒。最初は「ローマ字の回文」でしたが、「クロスワードを解く」という謎解きになり、これからつくるミステリーはすべて「謎解きクロス」のパターンとなります。

そうです。私はミステリー作家ではありません。そういう人間が、小説を書くのですから、これまで発表されてきた、どんなミステリーとも被らない、オリジナリティが必要となります。

今、日本に推理作家は約500人。そのうち、小説を発表することで食べていける推理作家は1割の50人といわれています。そのみなさんの経済基盤をゆるがすのは、本意ではありません。そのみなさんにも、大いに活躍してほしい。ただ、小説という世界、業界は、明らかに、血で血を洗うレッドオーシャン。

私は、本業はコンセプトデザインの制作。すなわち新規事業開発専門のコンサルタントをしているのですが、新規の場合は、レッドオーシャンは勧めません。まだ、だれも踏み込んだことのない、ブルーオーシャンに漕ぎ出していくことを勧めるのです。そのときに、コンセプトデザインが重要になります。

謎解きクロスは、ブルーオーシャンに進む、コンセプトデザインなのです。

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私の書くミステリーは、今までの推理作家さんが書かなかった、地域に根差した物語です。だから、地域活性化に役立つのです。

その特長は、さらに加えれば、こうなります。

④実在する地域と、そこで生きるリアルな商店街などがモチーフとなります。容疑者も実在すれば、真犯人も実在します。ただ、誰も死なないミステリーなので、容疑者は地域活性化を推進する人ですし、真犯人は、とってもいい人になっています。

⑤謎解きの解答は、地域のみなさんが決めることができます。謎解きクロスは、当然ながら「解答」から問題を作成するわけですが、その「解答」を、地域のみなさんが決められるという仕掛けが、当然ながら、このモデルの最高の利点なのです。

ということで、謎解きクロスによるミステリーウォークでは、出だしはいつも、こんな感じで進みます。

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ある晴れた日の昼下がり。

「大変だ! 池野所長、これを見てください!」

という叫び声が上がった。

そこは東京の日本橋にある雑居ビルの一室。玄関には『探偵@ホームズ』という看板がかかっている。

もっとも探偵といっても、その事務所では殺人などの凶悪事件や、夫婦ゲンカなどのややこしい出来事を調べることはしない。彼らの専門は文化や歴史、自然、人間の魅力が失われたという難事件を解決することだ。

「また、解答@ルパンから挑戦状がきています!」

アルバイトの伊藤君は、所長に封書を見せた。

「これは、確かに解答@ルパンのメッセージだ」

便箋には胡蝶【蘭(らん)】(縦3)のマークが押されていた。それは解答@ルパンのメッセージが本物であることを証明している。二人は、無二の親友なのである。

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登場人物には、途中から「解答@ルパン」も入ってきました。これは、やはり謎解きを楽しくするための仕掛けです。

さて、ここまで書いてきたことが、謎解きクロスによる「ミステリーウォーク」の、おおまかな歴史と、その考え方となります。

ところが、この謎解きクロスの開発物語は、ここで終わりません。なぜなら、ミステリーウォークを出自としている謎解きクロスなんですが、これまで誰もアプローチしてこなかったブルーオーシャンの世界ゆえに、ミステリーウォークを離れて、謎解きクロスそのものが、一人立ちできる可能性に気付いたからです。

その物語は、2年前の冬、高円寺で福田さんに会ったことから始まります。そう、この謎解きクロスのサイトを作成してくれている、ふくちゃんです。

つづきは、また次回に。

謎解きクロス開発物語<6>

謎解きクロスは、ミステリーウォークを支えるミステリーの「謎解き」部分を担っています。そもそもの出自が、ミステリーウォークであり、何かオリジナリティのある謎解きを創造したい、という思いが原点にあります。

というのも、私が勧めているミステリーウォークでは、ミステリーなのに「誰も死なない」のですから。誰も死なないにもかかわらず、本格ミステリーの醍醐味を味わっていただきたい。そういう「シバリ」のなかから生まれたパズルが、謎解きクロスなのですね。

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ちなみに、ミステリーなのに何故、誰もしなないのか。それは、地域活性化を目的に企画展開するのが、ミステリーウォークだからです。

私がミステリーウォークをスタートさせたのは、2008年の秋。赤坂サカスで、まず、試験的にやってみました。それが好評だったことと、移住交流推進機構の補助金事業に選んでいただいたこともあり、第1回ミステリーへウォークは「伊豆下田」で始まりました。このときの「謎」は、アルファベットの謎解きでした。

たまたま、赤坂サカスで、謎解きをしたわけですが、その解答を「AKASAKA」にしようと思いついたのです。

AKASAKAは、ローマ字の「回文」になっています。

この「ローマ字の回文」を使った謎解きによるミステリーウォークは、2008年から2013年まで続きました。そして、謎解きクロスが誕生すると、実際に解いている参加者のみなさんから「面白い!」という励ましの言葉を、ローマ字回文の10倍くらいいただけるようになり、「イケル」と判断したのです。

でも、ローマ字回文も、捨てたわけではないのです。その証拠に、2016年の目黒区でのミステリーウォークの小冊子の問題で、下記のように復活しています。

※以下、お楽しみください。

 

学芸大学にある目黒商店街連合会の事務所では、スマにゃんが見守るなか、「のんびりイベント散歩」で配布されたミステリー小冊子の正解者から賞品を授与するための抽選会が開かれていた。

机の上には、解答@ルパンから送られてきた「最後のヒント」が載せられている。

◆解答@ルパンからきた問題文

晩秋の『朝』のこと。目黒川のほとりで誰かが『アハハ』と笑った。窓から外を見たボクは『息』を飲んだ。彼女は『伊豆路』の恋という映画に出ていた女優。ここで店を開いて何かを『売る』らしい。

『あ』思い出した。彼女の名前は『あやや』だ。レポーターから質問されるたびに『アラ』と小首を傾げる。海辺ロケをして海に入り『行こう、沖』と誘うひと。

出したDVDを確実に『売り切る』人気は変わらない。趣味を聞かれ『なぜ掛け算』と答えてしまったか。生まれが『赤坂』であることと関係しているかもしれない。

探偵@ホームズの池野所長は、伊藤君が容易してくれたパネルを見せて、謎解きをする。

◇晩秋の『ASA』のこと

◇目黒川のほとりで誰かが『AHAHA』と笑った

◇窓から外を覗いたボクは『IKI』を飲んだ

◇たしか『IZUZI』の恋とかいう映画に出ていた

◇彼女のDVDを『URU』らしい

◇考えているうち……『A』思い出した

◇彼女の名前は『AYAYA』だった

◇質問されるたびに『ARA』と小首を傾げる

◇海に入って『IKOUOKI』と誘うひと

◇DVDを確実に『URIKIRU』人気は変わらない

◇趣味を聞かれ『NAZEKAKEZAN』

◇生まれが『AKASAKA』と関係している

池野所長は、目黒六人衆に語りかけた。

「みなさんが語られた言葉を、ただ集めるだけでは謎は解けません。この解答@ルパンの謎が解けなければ、真犯人までたどり着くことは難しい。そこで私がこの場で解きましたから、参考にしてください」

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と、こんな感じです。

さて、ここに至って「池野所長」が登場しました。誰もしなないミステリーウォークでは、冒頭で、池野所長が、必ず登場します。

そう、出だしは、いつもきまっているのです。

これについては、次回に謎解きをしていきます。

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こちらの女性は姉妹。謎解きクロスの大ファンで、のんびりイベント散歩をチェックしている私をみつけて「ひょっとして、作者の方では?」と声をかけていただきました。とてもうれしかったです。

謎解きクロス開発物語<5>

謎解きクロスは、日々、進化しています。

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開発物語を書いておかなければと思い立ったのが、1月。今は2月の中旬ですが、一つ、大きなチャンスがめぐってきました。チャンスというのは、ミステリーウォークの新展開と、1万人以上のみなさんに、謎解きクロスを「読み物(エッセイ)」として、呼んでいただけるチャンスがきたということです。

本来、ミステリーウォークは地域活性化、謎解きクロスは、そのミステリーを支援する謎解きの仕掛けというポジショニング。ところが、ミステリーウォークは、地域のみなさんからお金をいただくことが、大変難しいために、そうそう、多くの地点での実行はできません。

なもので、どこかで利益を出さなければ、この謎解きクロスで地域活性化を進めるというコンセプトは、破たんします。個人のポケットマネーでは限界があるのです。

そこで、商工会議所さんや、商店街連合会さんなどに支援していただいているわけですが、それでも、けっこう原稿料をいただくのが、しのびない状況。

そこで、原稿料を自分で稼いでしまおうというのが、この謎解きクロスの目論見です。

では、どうしたら、稼げるのか。

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もちろん、本を出して、印税という形が一番スッキリするでしょう。

というわけでね謎解きクロスは、いよいよ本になる段階に近づいてきました。

謎解きクロス開発物語<4>

みなさん、お元気ですか?

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謎解きクロスが、ミステリーウォークの「謎」になり、けっこう一般のみなさんに受け入れてもらえるということは、実際の現場で、やつてみて実感できました。

ただ、2015年までの段階では、ミステリーが好きで、謎解きが好きなみなさんには「とても受ける」ということがわかっていても、一般のみなさんが、これから謎解きクロスのファンになつてくれるのか、自信はまったくありませんでした。

正直な話、謎解きクロスが、ミステリーウォークを離れても成立する、すなわち「本になる」ことの確信がもてちのは、2015年に、朝日新聞社のOさんから

「この謎解きクロスを、夏目漱石の こころ を使ってできませんか?」

と指摘され、1年以上、つらつらとチャレンジしたあげく、2016年の12月、歩きながら考えているときに「あ、そうか」と、突然、ふってほいたように理解したことによります。

私は、謎解きクロスが「言葉のジグゾーパズル」ということを、突然に思いつきました。それがわかってしまうと、謎解きクロスの新しい可能性がみえてきました。すなわち、「記号」はなくして、言葉をゴシックにして本文と区別させ、それを、謎解きクロスのフレームに「平仮名」ないし「片仮名」で、はめこんでいくゲームだったのです。

そして、ジクゾーパズルに、一定数のファンがいるように、この謎解きクロスを、言葉の破片を埋めていって、一つの世界を構築し、クロスワードパズルを解くというプロセスにも、絶対に、面白い、楽しい、わくわくする人がいるに違いないと、確信したのです。

すると、これも突然なのですが、夏目漱石の「こころ」も、2015年には謎解きクロスの問題にすることはできなかったのですが、言葉のジグゾーパズルとしてとらえれば、ちょっとした工夫をすれば、できることに気づいたのです。

そうして、進めた結果、黄金の「謎解きクロス」のパターンが完成しました。

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そして今、この黄金のパターンをもって、新たな展開を模索しています。

 

 

謎解きクロス開発物語<3>

引き続き、開発物語。

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謎解きクロスのフレームは3種類あり、いずれも左右&上下対称のクロスワード空間になっています。

一辺の文字数が「5文字」「7文字」「9文字」の3種類です。

開発のプロセスとしては、まず「7文字」で作成しました。それを続けているうちに、「9文字」のフレームを考えてみたのですが、なかなか制作が難しく、「どうしてもできない場合」が発生しました。

というのも、最初は、いわゆるクロスワードパズルのルールにしたがって言葉の欠片は「名詞」に限定していたからです。解答を最初に考え、基本的なキーワードを2種類考えます。

キーワードはフレームが「7文字」の場合は「5文字」、フレームが「9文字」の場合は「7文字」です。

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キーワードとABCDEなどの解答を決めてしまうと、謎解きクロス9×9の場合は、どうしてもできない、名詞だけでは。

そこで「必ずしも名詞とは限りません」という注釈が入るようになりました。

以下、次回に。