謎解きクロスファンのみなさま、あけましておめでとうございます。
今年も、謎解きクロスと、その問題が楽しめる地域活性化型エンターテイメントのミステリーウォークを、どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年末、いわゆる神様が降りてきました。いわく。
「謎解きクロスは、ミステリーウォークだけではなく、その存在自体に価値がある。
どういうことかといいますと、地域活性化に活用できることは、すでに4年間も進めているので、証明されたに等しいわけです。ところが、2年前に朝日新聞のOさんに指摘されたように
「いわゆる、ふつうの読み物でも、謎解きクロスに転換できるのでは?」
ということなんです。
そして私に、宿題が出されました。
「没後50年を経て、著作権がフリーとなった小説を謎解きクロスにしたら面白い」
さすが、天声地語という4年間も続いている「お天気コラム」を生み出したプロデューサー。そんなことができるとは夢にも思っていなかった私ですが、十条の斉藤酒場で飲んでいたにもかかわらず
「それは面白いですね。チャレンジします」
と、まだ30分しか飲んでいないのに、その場をバラかして、さっそく制作に入ったのでした。
ところが。
夏目漱石の「こころ」を使って、謎解きクロスになるのかどうかやってみました。1ヶ月ほど苦悶しましたか。できれば「1」くらいの文章量、1500字で1問になるといいのですが、「1」の文章だけでは謎解きクロスはできません。「2」と「3」と「4」と「5」まで拡張しても、都合よく謎解きクロス7×7には、おさまりません。難題だったのです。
仕方なく、別の文章を挿入することにしました。
でも、なかなかしっくりきません。自分で文章をつくってしまうのですから、それは夏目漱石の「こころ」を使ったのは、ごく一部、たとえば5つの言葉だけとなり、そのほか17の言葉は、すべて、私がつけたした文章におさまっています。
せめて、逆にしたい。
謎解きクロス7×7は、言葉の破片(ピース)が22個あるのですが、そのうち「こころ」のなかから17個使って、あとの5個は、別の文章に入っているというのなら、まあ、許されるのではないかという印象を持ちました。
そして、その宿題は、心の片隅に置いたまま2年が過ぎた(正確には1年半)ました。
ところが、2016年12月、2017年2月に発刊予定の業界本(コンサル業界の動向がよ~くわかる本)で、コンサルのことを書き下ろしているうちに、頭が活性化されたのか、降りてきたのです。
まず、「謎解きクロスは、つまるところ言葉のジグソーパズル」ということに気づきました。ジクソ―パズルは、まず「写真」「絵」などのフレームがあり、それがいくつかの破片(ピース)に分かれます。そのピースを、「写真」「絵」などの正解に向かって、所定の一を探して入れ込むことで、遊ぶパズルです。
このジグソー「何が面白いの」という方もいると思いますが、いまもってデパートなどに販売されていることから、一定数の固定ファンと、一定数の新規ファンがいるということがみてとれます。一つの「ジャンル」なんです。
謎解きクロスも、実は同じコンセプトでした。まず、フレームがあります。フレームは「文章」の一部分、「言葉の破片(ピース)」が埋まることで成り立っています。文章から、言葉の破片を探し出い、それを謎解きクロスのフレームにはめこんでいくと、一つの答えが出てきます。
謎解きクロスは、言葉のジグソーパズルだったのです。
もちろん、言葉の破片がおりなす文章そのものの魅力は、このコンセプトでも引き継がれています。謎解きクロスとクロスワードパズルの決定的な違いは、謎解きクロスの「ヒント」が、一つの連続した文章になっていることです。だから、地域活性化のミステリーウォークに活用したり、カフェの販売促進に活用したり、あるいは将来としては、広告そのものに活用したりすることが可能になるわけです。
一方、謎解きカフェという仕組みも、2016年には開発しました。謎解きクロスの問題を、カフェで出題します。ヒントがない状態で謎解きクロス7×7を解ける人は1割。たいていは、ヒントが必要になるわけです。
そこで、カフェのマスターに「ヒント」を託します。ヒントを託すことで、謎解きクロスを解きたい顧客と、マスターはコミュニケーションをとることができるのです。
ここでのポイントは、謎解きクロスはマスターが「自在にヒントを出せる」ということです。言葉のジグゾーパズルなんですが、ヒントによって難易度を変えることができるのです。
この特長のもつ意味も、実は大きかったのです。
現代社会で、最も重要で、かつ苦手な人が増え続けているコミュニケーション。謎解きクロスは、そのコミュニケーションを進める、一つの手段、ツールにすることができます。ポケモンGOには、謎解きはありません。同じ謎を、何人かで解く。あるいは、マスターのヒントで解く。そのときの達成感が、人と人を結び付けることになります。
そして、2016年12月に降りてきた神様は、続けます。
「謎解きクロスは、言葉の破片を集めるジグソーパズルでもあるけれど、その言葉はクロスワードパズルのように名詞と限定する人用はない」
そうなんです。動詞でも、形容詞でも、形容動詞でも、「それから」という助詞の一部分「それか」という言葉の破片でも、いいのではないか。
これで、朝日新聞社のOさんの宿題を解くヒントがそろいました。
そして、チャレンジ。
ところが、夏目漱石の「こころ」は、まだ難題でした。それをしてみても、まだ「1」の文章で謎解きクロス7×7を完成させることはできません。そこで、苦肉に策ではありますが、一部分、オリジナルに「自然な形で、勝手に文章を付け加える」ことにしました。
それなら、何とかできます。
ただ「オリジナル」に、勝手に2行から3行の文章を加えるので「引用」とするわけにはいきません。謎解きクロスは、オリジナルの文章をパズルかしたもので、「パロディ」にあたるものに変化します。
でも、それはそれなりに、夏目漱石の「こころ」であり、謎解きクロスでもあるという、これまで誰もみたことがオリジナルな世界になっていました。
ところで、謎解きクロスそのものにも、最後の難問が残っていました。
謎解きクロスは、言葉の破片に【タテ】とか《ヨコ》とかのヒント記号がつけてあります。このヒント記号により、タテとヨコのバランスわ考えながら、言葉の破片を埋めていくのです。
ところが、夏目漱石の「こころ」を謎解きクロスに変換する場合、ヒント記号がには、とっても違和感がありました。せめて「ゴシック体」にしておくというだけで、進められないか。
そこに、謎解きカフェのコンセプトが重なりました。「別建て」でヒントを用意しておけば、問題文の言葉の破片にヒント記号を加えなくても、大丈夫ではなかったか。
ここで、謎解きクロスの全体像が完成しました。
今年から、謎解きクロスは、以下の構造になります。
<1>謎解きクロスのフレームは3通り
・謎解きクロス5×5:ミステリーウォークの街歩きで活用します
・謎解きクロス7×7:ミステリーウォークの他、小説などの謎解きクロスバージョンに活用
・謎解きクロス9×9:新しいミステリー小説に活用します
<2>難易度を決めるのは「ヒント」
・最初の文章で、言葉の破片は「ゴシック体」となっています。
・それが謎解きクロスのフレームの「タテ」か「ヨコ」かはヒントで知ることができます
・謎解きクロス9×9を、タテ・ヨコのヒントなしで解くのは大変難しくなります
・タテヨコのヒントのあとで、言葉の破片がどこに入るかのヒントも出せます
以上が、これからの謎解きクロスのスタンダードとなります。
本年も、よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、みなさまのご多幸、祈念しています。