謎解きクロス開発物語<5>

謎解きクロスは、日々、進化しています。

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開発物語を書いておかなければと思い立ったのが、1月。今は2月の中旬ですが、一つ、大きなチャンスがめぐってきました。チャンスというのは、ミステリーウォークの新展開と、1万人以上のみなさんに、謎解きクロスを「読み物(エッセイ)」として、呼んでいただけるチャンスがきたということです。

本来、ミステリーウォークは地域活性化、謎解きクロスは、そのミステリーを支援する謎解きの仕掛けというポジショニング。ところが、ミステリーウォークは、地域のみなさんからお金をいただくことが、大変難しいために、そうそう、多くの地点での実行はできません。

なもので、どこかで利益を出さなければ、この謎解きクロスで地域活性化を進めるというコンセプトは、破たんします。個人のポケットマネーでは限界があるのです。

そこで、商工会議所さんや、商店街連合会さんなどに支援していただいているわけですが、それでも、けっこう原稿料をいただくのが、しのびない状況。

そこで、原稿料を自分で稼いでしまおうというのが、この謎解きクロスの目論見です。

では、どうしたら、稼げるのか。

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もちろん、本を出して、印税という形が一番スッキリするでしょう。

というわけでね謎解きクロスは、いよいよ本になる段階に近づいてきました。

謎解きクロス開発物語<4>

みなさん、お元気ですか?

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謎解きクロスが、ミステリーウォークの「謎」になり、けっこう一般のみなさんに受け入れてもらえるということは、実際の現場で、やつてみて実感できました。

ただ、2015年までの段階では、ミステリーが好きで、謎解きが好きなみなさんには「とても受ける」ということがわかっていても、一般のみなさんが、これから謎解きクロスのファンになつてくれるのか、自信はまったくありませんでした。

正直な話、謎解きクロスが、ミステリーウォークを離れても成立する、すなわち「本になる」ことの確信がもてちのは、2015年に、朝日新聞社のOさんから

「この謎解きクロスを、夏目漱石の こころ を使ってできませんか?」

と指摘され、1年以上、つらつらとチャレンジしたあげく、2016年の12月、歩きながら考えているときに「あ、そうか」と、突然、ふってほいたように理解したことによります。

私は、謎解きクロスが「言葉のジグゾーパズル」ということを、突然に思いつきました。それがわかってしまうと、謎解きクロスの新しい可能性がみえてきました。すなわち、「記号」はなくして、言葉をゴシックにして本文と区別させ、それを、謎解きクロスのフレームに「平仮名」ないし「片仮名」で、はめこんでいくゲームだったのです。

そして、ジクゾーパズルに、一定数のファンがいるように、この謎解きクロスを、言葉の破片を埋めていって、一つの世界を構築し、クロスワードパズルを解くというプロセスにも、絶対に、面白い、楽しい、わくわくする人がいるに違いないと、確信したのです。

すると、これも突然なのですが、夏目漱石の「こころ」も、2015年には謎解きクロスの問題にすることはできなかったのですが、言葉のジグゾーパズルとしてとらえれば、ちょっとした工夫をすれば、できることに気づいたのです。

そうして、進めた結果、黄金の「謎解きクロス」のパターンが完成しました。

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そして今、この黄金のパターンをもって、新たな展開を模索しています。

 

 

謎解きクロス開発物語<1>商標登録

謎解きクロスとは何か。まったく新しいペンシルパズルなので、解説が必要です。

これから少しずつ、謎解きクロスの歴史をご紹介するとともに、開発プロセスのトピックもご紹介しましょう。

今回は、商標登録について期しておきます。

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「謎解きクロス」の商標登録は、2014年の年頭に提出され、2014年7月に登録の手続きが終了しています。

すなわち、2013年の段階では、「謎解きクロス」というネーミングを使っている人は、だれも居なかったということです。

逆に、2016年の年始に出願された「謎解きカフェ」は、すでに一般のネーミングとして活用されていることを理由に、2016年7月に「拒絶理由」を受け、12月に、決定しました。

謎解きカフェの場合、「拒絶された」ことが何を意味するかというと、誰もが「謎解きカフェ」という名前を、たとえば「クロスワードパズル」のように、「ジグゾーパズル」のように、使ってもいいし、それによって特定の誰かさんに訴えられることはない、ということです。

この「使っていい」ということと「訴えられない」ということが重要。

私は、数万円と数日間を使って「謎解きカフェ」の商標登録ができるかどうか申請して確認したわけですが、その目的は、まさに「使っていい」「使っても訴えられない」ことを実現するためでした。

すなわち、私は、目的を達したのです。

それで、本サイトにも「謎解きカフェ」のコーナーができました。また私は、インターネットサイトで「謎解きカフェ」に関するいくつかのドメインを持っていますが、「謎解きカフ.com}とか「nazotokicafe.com」そして、たとえば沖縄でも独自に展開してほしいから「謎解きカフェ.okinawa」のドメインも登録してあります。

これらは、投資額とすれば、年間数万円にすぎませんが、すべて「自由に進めたいときに、進められる権利」がほしいからです。

せっかく、新しいことを始めようというときに、あちこち、誰かが利権を主張し、調整が必要になってくると、勢いがつきません。

「謎解きクロス」も、同様です。

今、謎解きクロス作家は、世界中で廣川州伸しかいません。しかし、たぶん東京オリンピックのころには、数人がチャレンジしています。

だって、100万人が、謎解きクロスを楽しみに待っている状況が生まれたら、問題を提示しつづける義務があるわけで、とても私一人で対応できる世界ではありません。

その状況で、「謎解きクロス」の名前を使わないでほしいと訴えられることは、もう絶対に、なくなりました。

もちろん、私は、誰かが「謎解きクロス」の名前を使ったときに、それでお金をいただこうとは思っていません。

ただ「あれは、廣川さんのコンセプトデザインだ」と、ちょっとだけ意識して、大切にしてほしいのです。

謎解きクロスは、私の子どもであり、宝物なのですから。

クロスワードとジグゾーの合体

少し、コンセプチュアルなことを書きます。

「謎解きクロス」って、結局、どんなパズルなのか。その問いかけは、発案した4年前から、思い続けてきました。また、「このパズルは、それ自体、面白いのか」とも。

後者の解答は、楽しんでくれている人がいるか、いないかにかかっています。そして、少しずつ「謎解きクロス」を楽しみたいという人が増えていますので、これは「イケル」という感覚はあります。

一方、前者は、ずっと考え続けてきて、ようやくたどりつきました。謎解きクロスは「言葉のジグゾーパズル」であり「文章のクロスワードパズル」なのです。

ジグゾーパズルは、画面を分割します。謎解きクロスの場合は、文章の一部を分割し、それを定型のクロスワードに、はめ込むことによって正解を導きます。

ただ、「言葉のジグゾーパズル」と表現するよりも「文章のクロスワードパズル」というほうが、まだ、わかりやすいかと。

みなさんは、どう思われますか?

信州で謎解きクロスを進める理由

謎解きファンのみなさま、こんばんは。
この春、ミステリーウォークを展開してくれた須坂市。観光協会の「地域おこし協力隊」のGさんから(こう書くと、花さかじいさんのように見えるかもしれませんが、はつらつとした地域プロデューサー)ステキな報告が届きました。

謎解きクロスは、現在、普及期にあります。それゆえ、ちょっとしたユーザーさんの声が、作者の大きな元気につながる。ものづくりのモチベーションは、まさに「声」にあるのです。

勝手に、ご報告から抜粋しましょう。

・楽しかったです。
・ルールが分かりにくいのでもう少し単純にした方がより面白くなると思います。
・ヒント1つでとけました。とても楽しかったです。私が100人に1人の正解者だー
・娘と一緒に楽しくできて良かったです。
・いろいろと工夫されていて素晴らしいと思います。麦茶ごちそうさまでした。
・解くのが楽しく、まちの様子や観光スポットを訪れることができて良かったです。
・物語も楽しかったし、なぞ解きも楽しかった。また続けて欲しいです。今度は他の店にも行けるよう多くしてほしい(ヒント)
・来年も是非行って欲しい。
・子供と「一緒に楽しめるイベントをまたお願いします。
・物語とクロスワードの解答が素晴らしく良く出来ていて感動しました。
・今までになかった、このような新しい企画を待っていました。臥竜公園のパネル探しから始まり、桜を撮りに来た方(知らない人)に桜を教えて頂けたこと、第1ステージクリアで1割引き「こうじ」と「みそ」アイスを口にできたこと。問題起案者に拍手を送りたい。
・色々なお店を等知ることができて楽しかったです。

いかがですか。

「物語とクロスワードの解答が素晴らしく良く出来ていて感動しました。」

こちらも、何度も読み返すくらいに感動しちゃいました。謎解きクロスを楽しんでいただけた、それが一番。作者冥利につきるというものです。

ありがとうございました。

2016年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

上田下田ミステリーライン

謎解きファンのみなさん、お元気ですか?
この週末は、土曜日には上田。むかしや、という居酒屋さんで、上田商工会議所さんの声掛けで集まった地域プロデューサーのみなさんと、信州上田ミステリーウォークの企画打ち合わせ。
翌日曜日は、伊豆下田に向かい、下田商工会議所さんのお声掛けで集まった地域プロデューサーのみなさんと、伊豆下田ミステリーウォークの企画打ち合わせ。
6年、いや、7年前に、東急電鉄さんの会議室で、下田ミステリーウォークの次は上田ミステリーウォークをスタートしましょう!と、約束したわけですが、今日、しっかり実現しています。関係してくださったみなさんに、感謝いたします。
そのミステリーウォークですが、通常の地域活性化イベントの、なんと、ヒトケタ安い画期的なコストで、しかも、効果が持続するという、まさに地域活性化のイノベーションとなりました!
それは、謎解きクロスという、ミステリーウォークに参加するみなさんが、楽しんでいただけるコンテンツが充実した成果なのです。
謎解きクロスは、さまざまなバリエーションがありますが、地域のニーズに合わせて、自分たちが望むような展開で、オリジナルの問題を作成することができます。地域起点でありながらも、ミステリーになっているので、全国に通用するエンタテインメント。
コンテンツのコストが高くないので、一年の予算があれば、10年間、持続してミステリーウォークを展開することができます。すなわち、地域のブランドになれるということです。
具体的には、どのように謎解きクロスが地域活性化のイノベーションになるのか、それは、実際に、謎解きクロスによるミステリーウォークを体験してみないと、なかなか、体感することができません。
今年は、全国、1万人が、謎解きクロスによるミステリーウォークを体験することになります。
みなさんも、ぜひ、どこかで、視察してください。

お待ちしています!

2016年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

恵比寿から始まる謎解きクロス

謎解きファンのみなさま、お元気ですか?

いよいよ、沖縄を除いて梅雨は本番。今週は、九州、とりわけ前線の影響を受けやすい熊本・大分では、集中豪雨となる可能性もありますので、ご注意ください。

さて、本日。三重県四日市から、本サイトを作ってくださっている福田さんが、来てくれます。打ち合わせをするわけですが、そのお相手は、何と、まちクエストを制作している石原さん。

これは、何も起きないほうが不自然です。この会議は、少なくとも謎解きクロスの未来にとって、新たな一歩となる、とっても楽しい会議となります。

そして明日。恵比寿から、会議の場を六本木に移した後、夜には西小山に行き、ミステリーツアーの持続可能性について、お願いしてきます。恵比寿、そして六本木、西小山と、いずれもディープな会議となるでしょう。

私たちの人生には、あとで、今を振り返ったときに「しっかりと心に刻まれている時間」が存在します。本日の会議が、そのような特別な時間の一つであること、革新しています。

2016年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

しなの鉄道と謎解きブック

謎解きファンのみなさま、お元気ですか?

みなさんは、鉄道に乗ったときに何をして過ごしますか?
景色を観て過ごす。正解です。でも、夜は? 
なぜ、夜を聴くかというと、鉄道に乗ったときに、時間がたっぷりあったなら、どうするかということが今、私が問いかけている問題だからです。

1980年に、私は、ユーロパスを持って、ヨーロッパを周遊していました。たとえば、ギリシャからイタリアに入るとき。フィレンツェで4泊して、ローマに入りました。それから、パリまで。ずっと、列車の旅が続きました。飲んで、酔っぱらって眠るという手はありますし、たまたまボックスが一緒になった人々とコミュニケーションする楽しみもあります。

でも、一番時間をつぶせたのは、未来の「謎解き」なのでした。
これから、何をしようか。どんな自分になろうか。どんな人生が待っているのか。どんな人生を生み出していこうか。

それを考えながら、ノートをつけました。

そのノートを書いている時間が、実は、一番楽しかったかもしれません。それは、想い出になるから、というよりも、そのときのリアルな時間を費やすための、かっこうのツールなのでした。

そこで、思ったものです。
鉄道に乗って、思いっきり、ミステリーを読んでみたい。クリスティのオリエンタル鉄道? いえいえ、鉄道ミステリーに限りません。本格ミステリーを、片っ端から読んでいっても、たとえば50時間の鉄道の旅、なんてときには、いくらあっても足りないかもしれません。

そして今、時代はくだって、しなの鉄道に謎解きを提供する立場になった私。何という幸運でしょうか。それは、1980年に、私が想像していたことの一つであり、かつ、とても中心的な一つなのです。作家として、鉄道に乗りたい。その頃の、よくみた、何度もみた、そしてついに確信した、ドリームでした。

今、私は、しなの鉄道をめぐる謎解きを考えています。

その謎解きを、しなの鉄道に乗って旅をする、すべてのみなさんに心をこめて、捧げたいと思っています。作る人になりたい。新しい、誰も作ったことのない物語を作りたい。まさに、しなの鉄道で進められる謎解きクロスによるミステリーウォークは、そのドリームを具現化していることになります。

2016年9月17日(土曜日)18日(日曜日)に、しなの鉄道で、謎解きクロスによるミステリーウォークが開催されます。

鉄道ミステリー? たぶん、真田丸で盛り上がっている世間を意識した、楽しい物語になる。

私は、きっと、1980年の自分になって、しなの鉄道ミステリーを考えて、謎解きクロスの問題に落とし込むことでしょう。

みなさん、もうしばらく、お待ちください。

2016年6月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

すべての謎はアナログでしか解けない

AIにできることが、とても増えてきました。
いや、私たち人間は、AIなしではもう、快適な生活は望めません。都市型の生活者にとって、世界を「シロ」か「クロ」かで識別するデジタル化と、その恩恵としてのAIには、もう、かなうわけがないのです。
そして、世界から謎が消えていきます。
というのも、謎というものは「シロ」と「クロ」のはざまに生まれるものだからです。一瞬にして判別がつくものは、もう「謎」ではありません。
もし、未来が決まっているとしたら、そこに謎の入り込む余地はありません。デジタル化できるものは、すべて、AIが処理しまう。
そこに、謎はなかったのです。

ところが、ここで人間という不可思議な生き物の特徴が浮き上がってきます。そもそも、世界はシロと黒でできてはいません。
私たちが目にして生きている「リアルな世界」は、シロと黒の世界ではなかったのです。
しかし、便宜上、シロと黒に分かれるとして、たとえば数学でいえば「整数論」のようなもので、デジタル化して、別な世界をつくり、そこで実証したことを、りぁめな世界に、再びあてはめるということを、していく。すると、デジタル社会はAIで解けるので、AIの実証結果が、大いに役に立つ。
ところが、ここで問題となるのが、デジタル化するときに「情報をシロかクロかに区分けしてしまった」こと。

すなわち、似て非なるものなのです。

この似て非なるものという科んねんが、これから、とても重要になってきます。双子の兄弟は似て非なるもの。まったく別の人格です。きっと。

で、予言をひとつ。

これからは、アナログ世界が、非常に、非常に、非常に、珍重される時代。アナログ度が高ければ高いほど、自然も、人間も、芸術も、すべて一期一会のアナログなんですが、その度合いが、どんどん、アナログ情報をそぎ落としてデジタル化して、AI的に加工して、できた、サイバー社会。

そこでは、アナログ人間は、活きていられません。

では、どうしたらいいのか。もちろん、デジタルを捨てて自然に向かうことです。自然の豊かな色彩のなかで、生活することです。

その世界は、いつも謎でみちています。だから、解きたくなる。自分の力で。その一つが、謎解きクロスであってほしいと、私は心から願っています。

2016年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster

安全と安心のはざまに謎解きがある?

(財)日本科学技術連盟は、日本の製造業のクオリティを支えてきた団体。そこで発刊しているクオリティ・マネジメント誌の取材・執筆には、かれこれ15年ほど関わり、ここ10年ほどは編集アドバイザーを仰せつかっています。
そのクオリティ・マネジメント誌は、今は「ウェブマガジン」となっていて、一般のみなさんは、途中までしか読むことができません。
私は、編集アドバイザーとしてアカウントをいただいてますから、会員ではない読者が、どこまで見られるのか、よくわからないのです。(調べれば、すぐわかるのでしょうが、めんどくさいので、そんなことはしていません)
さて、今、つらつらと記事を読んでいたら、コラムで共感するものがありました。みんな、面白いのですが、そのなかでも、こんなものもみつけました。

「安全・安心」という言葉は、最近よく見かけたり聞いたりするフレーズです。私たちのまわりにはさまざまなリスクが広がっており、たとえ安全だからといって安心できるとはかぎらず、安心しているからといって安全につながるとはかぎりません。今回は、この「安全・安心」というフレーズについて、少し考えてみましょう。

 1つめは「安全」についてです。広辞苑で「安全」をひくと、“①安らかで危険のないこと”とあり、「安らか」は“安心できるさま”とあります。また、“②物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと”とも書かれてあります。

しかし、よくよく考えてみると“これは安全です”といっても“100パーセントの安全”ということはありえません。何よりも、それらが②のように物理的なものであるかぎり、そこには「時間」が関わってきます。ものによっては、2016年2月には安全でも、その5年後の2020年2月には安全ではないということもあるでしょう。たとえば、食品の場合は賞味期限があり、それを過ぎても食べられなくなるとはかぎりませんが、あまりに過ぎてしまうと口に入れられる食品ではなくなるかもしれません。

また、安全と判断する時は、「誰にとって安全か」という視点も必要になります。すべての人にとって安全なものなど、世の中には存在しないからです。

たとえば、建築や作業などで使うハンマーがありますが、決められた使い方をしていれば安全です。しかし、慣れない人が使えば自分の指を叩いてしまうかもしれませんし、誰かの身体を叩いたら安全どころか凶器になってしまいます。かといって、釘を打てないハンマーでは存在意義がありません。

このように定義そのものにも、それぞれの判断にはすべて前提があり、どこかで「ここまで」という落とし所を想定して、その範囲内で安全を語っていくしかありません。また、使う人の使い方や意識によっても影響を受けてしまうものなのです。

2つめは「安心」についてです。私たちは「安全です」といわれれば、少しは安心することができます。しかし、前述のとおり安全には前提があり、100パーセントの安全ということはないわけですから、1つひとつの現象に直面するたびに、安全かどうかを自分で考え、安心できるか、状態を判断することになります。

たとえば、私たちは安心できなければ眠ることができません。しかし、体力の限界がきてしまえば、安心できる環境にいなくても自然と眠ってしまいます。東日本大震災で、自衛隊を中心とする救助隊のみなさんが、災害発生からの3日間を不眠不休で活動したのは、人間が眠らないで体温を維持して耐えられるのが72時間とみられているからです。体温が下がるということは、生体機能を維持できなくなるということ。そのため、一分一秒も惜しんで救出活動をつづけてくれたのです。

もちろん、私たちだけでなくおそらく野生動物にとっても、安心できる場所がなければ眠ることはできないでしょう。眠った瞬間に襲われて、命を落とすことになるからです。このように考えると安全は安心の1つの大きな要因となっているといえます。

しかし、安全だからといって絶対に安心できるかというと、そうでもありません。私たち人間には、イマジネーション(想像力)があります。脳を納得させるだけの「情報」がなければ、私たちはさまざまなイマジネーションをふくらませることでしょう。

たとえば、私は高所恐怖症のため高飛び込みはできません。渓谷の橋からのバンジージャンプなどは、もってのほかです。あのヒモが切れるのではないか、あるいはゴムの部分が伸びすぎて激流に衝突するのではないかと考えてしまいます。そんな私ですが、カナダのトロントにある展望台に、床面の一角が5メートル四方ほどの透明ガラスがはめ込んである場所があり、『この上を歩いて空中散歩を体験したい』と一度チャレンジしようとしたことがあります。しかし、どうしても最初の一歩を踏み出すことができませんでした。だって、ガラスが割れることを想像してしまうから・・・。安全であることはわかってはいても、ままならないこともあるんです。

同じように、私は大地震の中でも地下鉄が安全であることを、いろいろなメディアをとおして知っています。それでも自分が乗っていた電車が緊急停止して、車内に警報(本当に嫌な音で身構えてしまうような音です)が鳴り響いた時には不安になりました。

「ただいま、関東地方で震度5強の地震が発生したとの連絡が入りました。しばらく停止し、安全が確認できましたら発車いたします」と車内アナウンス。

ところがその後、1分たっても2分たってもアナウンスが流れない。それどころか、非常電源に切り替えたのでしょうか、さきほどの半分くらいの照度で蛍光灯が点きました。ひょっとしたら地上は大変なことになっているのではないか。駅は大丈夫か。安全は確認できるか。そもそも何でアナウンスがないのだろうか・・・と、私のネガティブなイマジネーションが広がっていきます。

この時の私のように、いくら事前に地下鉄が安全だとわかっていても有事の際に「情報」が伝わってこなければ、決して安心することはできません。私たちは、いきなりパニックに陥るわけではありません。最初は何が起こったのだろうとポカンとして、そのうち状況を確認する余裕ができ、イマジネーションが働き、その結果としてパニックに陥るのです。安心は実は情報が支えているのかもしれません。したがって、たとえ状況に進展がなくても、乗客に情報を流しつづけるということが、1つの安心につながるのではないでしょうか。

このように、安全には「時間」と「誰にとってのものか」、そして安心には、「安全の確認」と「イマジネーション」が関わってきます。常にそれらを配慮し、安全な状況を維持しなければなりません。そして、安心するためには安全に関するそれらの適切な情報提供がなされることが大切だと思います。実は、切っても切れないようなバランスで「安全」と「安心」は関係しているのかもしれませんね。

以上、クオリティ・マネジメント誌からの引用です。

で、話の続き。
私は、途中で、ようやく気づきました。あ、これは半年前に、私が書いて編集部に送った原稿だったと。
たまに、あるのです。
私は、同じ本を二度買って、読んで感動してしまったり。そのとき、デジャブかと思っていたら、何のことはない、昔、読んでいたりします。自分の本でも、5年以上経つと、内容の詳細は忘れているので、自分で読んで「勉強になるなぁ」と思ったり。困ったものです。

ただ、一つ、いいことがあります。
推理小説の真犯人を、忘れているのです。なので、ミステリー小説を二度目に読んでも、けっこうわくわくして、本当に真犯人が誰か、悩んでしまったりします。その結果、全壊も間違えたのに、今回も間違えた、なんてこともよくある話。

でも、本人が楽しいのですから、ま、いいか。

2016年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster